コラム・レポート

退院直前に、妻に諭されて不快な医師団にも謝礼(130)

退院直前に、妻に諭されて不快な医師団にも謝礼(130)鹿児島県南さつま市坊津町秋目にある「沖秋目島(おきあきめじま)」は1967年にイギリス映画「007シリーズ」の第5作目「007は二度死ぬ」のロケが行われた島と知られる。

(著者からの要望で、がん闘病中で具体的な治療法をお知りになりたい方には、最後にお知らせがあります)
【隼人の風】医師団の説明によると、まだ「無罪放免」といったわけでもないのに、思いがけず退院となれば、まず浮かぶのは医療スタッフへの「御礼」のことだった。もちろん、スタッフの中には職責以上にあたたかい人間性を発揮して患者の心を和ませ勇気づけてくれた人々もいないわけではない。

しかし、「仮釈放」される患者の身としてやはり大きかったのは、何ひとつ「スタッフへ」贈らないことへの不安だった。有名な徳洲会(とくしゅうかい)のことが頭をよぎらなかったわけではない。今や、立志伝中(りっしんでんちゅう)の人物となった徳田虎男(とくだ・とらお)さんが巻き起こしたあの一大社会運動がなければ、腐敗しきった医療現場の実態は何ひとつ変わってはいなかったろうからだ。

現に、スタッフへの贈り物を固辞するといった内容の掲示は、大学病院内にも貼り出してはある。私の中には、またなんだって、これだけ侮辱されながら「御礼」をやらないといけないんだ!、という不愉快な気持ちと、でも、こちらが手を合わせたくなるほどの人間味あふれる接し方をしてくれた人達もいるしなぁ・・・気持ちの問題もあるし、といった半ば感謝の思いが、互いにせめぎあって激しく軋(きし)んでいた。


私は結局、贈る人と贈らない人を分けるというのも、いい大人が小僧らしいことだとも考え、何も贈らないことで生じるかもしれない「今後の不利益な取り扱い」への不安もあって、割り切れない思いを残しながらも関係した全員に御礼の品を贈ることにした。

ナースセンターには「菓子折」とし、医師達には「商品券」にした。私が、家人が準備してくれた品をベッドの上に並べながら、「本当はこれ、(ナースと医師を)逆にしたい気持ちなんだけどなぁ」とつぶやいていると、家人が「ともかく、本当に一生懸命によくしてくれた人達もいるんだから」と、まるで前線から撤収しての陣地防御が辛くも決まった兵士を勇気づけるような調子で言った。

ナースセンターへは家人が行き、私は「ドンキー」をまず探した。廊下で見つけた「ドンキー」に商品券を入れた封筒を「どうも」と言いながら手渡そうとすると、彼は一応型どおりに「なんですかこれ?いけませんよ」と受け取らなかった。内心、チェッ!こっちもやりたくて渡してるわけじゃないのに、と思った私は、その場は引き下がって後ほど、ナースセンターに人がいなくなるのを見計らって、そこに設けてある医師ごとの小さなポストに封筒を入れてきた。

「沖秋目島」はシーカヤックで一周する「ツーリング」も人気があり、小洞くつなどもある大人のプレイスポットで、魚影も濃く、珊瑚(さんご)も見られて、アウトドア派にはたまらない魅力を備えている。県外からのリピーターも数多い。

それきりになったから、商品券はめでたく「ドンキー達」の手元に届いたのだろうが、屈辱的なヒドイ目にあわされた上に、高額な治療費以外にも出費を強いられるとは、後味の悪い苦々しい思いが長く残った(九州出身で、自衛隊を経て地方で働く重浪明さんが、末期がんから生還した自らの話を不定期にエッセイ風に書きます。

また、重浪明さんからの申し出で、現在、がんの闘病中の方で、具体的な治療法をお知りになりたい方は銀座新聞ニュースまでメール(allginza@gmail.com)でご一報ください。著者から追って連絡させていただきます)。

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