コラム・レポート
内容勝負の玄人向け「アフタースクール」(66)
【yokoso銀座キネマ館】5月24日公開された「アフタースクール」が、スマッシュヒットとなっている。約80スクリーンの公開で初週7位の好スタートである。6位は全国で大きく公開した草薙剛(くさなぎ・つよし)主演「山のあなた 徳市の恋」だから、「アフタースクール」の健闘ぶりがよくわかる。
簡単に作品を紹介すると、監督は新進気鋭の内田(うちだ)けんじで、主役は大泉洋(おおいずみ・よう)、佐々木蔵乃介(ささき・くらのすけ)、堺雅人(さかい・まさと)という玄人(くろうと)好みの3人だ。
全体的な印象で言うと、映画ファン好みの布陣で、やや地味なコンビネーションだが、抜群と言ってもいいほどの内容の面白さが受けているのだ。
ストーリーを書くと、ネタバレにもなってしまうので、深くは表現できないが、まずは3人のキャラクター設定がユニークである。大泉洋は中学校の教師で、事件に巻き込まれていく男を演じ、人の良さだけが取り柄のような、パッとしない中学教師である。
最近、大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」の徳川家定役がブレイク中の堺雅人は、大泉洋の同級生で、出産間近の、これまた同級生の妻、常盤貴子(ときわ・たかこ)がいる一見平凡な男である。
ところが、この堺雅人が、ある日、突然失踪してしまう。しかも失踪した日は、大泉洋が買ったばかりのポルシェを借りたまま、行方不明になってしまうのだ。そして堺雅人の失踪にからむ謎の女性が田畑智子(たばた・ともこ)である。
その堺雅人を、会社の同僚から探すよう依頼されるのが、探偵の佐々木蔵乃介である。この探偵がまた曲者で、アダルトショップを経営しながら、裏家業として探偵をやっているのだ。
佐々木蔵乃介には、借金など複雑な事情がありそうなことが伺えるのだが、はっきりはわからない。ただ探偵としてはなかなか優秀なようで、同級生の大泉洋のところまでは、たどり着く。ドラマは、ここから大きく展開していく。大泉洋は、行きがかり上、佐々木蔵乃介の探偵家業を手伝う展開になってしまうのだ。
この後のストーリーは、書くことを控えておく。予想もつかない展開に、映画の流れは変わっていくのだ。映画を見終わった後、劇場のあちこちから「やられたぁ!」という声が聞こえてきた。
しっかりと作りこまれたプロットと、丁寧な演出、そして3人の主役の濃密な芝居によって、観客はどんどん映画の中に引き込まれていくのだが、予想もしないストーリーの展開で、大きく観客の思惑は裏切られていく。
テレビ局の制作作品のような大規模な宣伝展開や、ジャニーズの所属タレントや、今時の役者が出ていなくても、映画は成功するケースもある。「映画は内容が勝負だ!」と、「アフタースクール」は語っているのだ(敬称略。映画業界に精通しているハチさんが「銀座キネマ館」の支配人として不定期に映画の話を書きます)。
アフタースクール



