コラム・レポート
店でチキン1羽をさばく、50年の老舗(38-1)
【OL銀座食楽部】外堀通りに面したリクルート銀座7丁目ビルの近くにある「銀座キャンドル」は1950年に創業して以来、58年間も変わらぬ味を守り続けている。
「キャンドル」は創業者の岩本雛子(いわもと・ひなこ)さんが映画「哀愁」(1940年)の中で主役の2人が踊る「キャンドルクラブ」という店名を気に入り、いつか自分が店を出す時はこの名前をつけたいとの思いから付けられた店名だ。
地下1階に降りる扉をあけると、頭上から大きな炎の形をしたキャンドルライトが出迎えてくれる。店内にもひと回り小さなキャンドルライトが吊るされており、ひとつひとつが手作りなので、若干、色合いなどが違い、とても幻想的である。
ディナータイムにはテーブルひとつひとつにキャンドルが灯され、独特な味わいのある雰囲気になる。壁はより暖かみを出すために「モザイク調のゼブラウッドを使用している」とフロアマネージャーの岩本直子(いわもと・なおこ)さんが説明してくれた。
岩本直子さんは岩本雛子さんの孫で、現在、銀座店の責任者である。ほかにも店舗があり、グループ全体のオーナーは直子さんの弟、岩本忠(いわもと・ただし)さんが務めている。
最大の看板メニューは「元祖!世の中で一番おいしいと言われる『チキンバスケット』」(1390円)で、岩本雛子さんが創業時に知り合いの進駐軍の兵士から作り方を教わり、店で提供したメニューで、カゴにフライドチキンをいれて出したのは、日本ではこの店が最初と言われており、現在の長い名称も、このチキンバスケットを気に入った評論家の山本益博(やまもと・ますひろ)さんが名づけたそうだ。
フライドチキンの鶏は鳥取県産の「大山鶏(だいせんどり)」で、創業当初から同じ地鶏を使用し続けている。岩本直子さんによると、この「大山鶏」は厳選された飼料や指定した飼育日数により、臭みがなく、柔らかいのが特徴で、しかもひな鶏を使用しているので、ささみ部位でも驚くほど柔らかい。
時には、「このフライドチキンを魚のフライと勘違いするお客様がいるほど」とシェフの井浦聡司(いうら・さとし)さんが笑う。井浦さんは初代「銀座キャンドル」に高校生の時にバイトで入ってきたのだが、その後もそのまま店に居ついてしまい、今やシェフであり、創業時を知る店の生き字引である。
鶏は店で丸ごと1羽をさばき、むね肉、もも肉、ささみ、手羽元、手羽中と5種類の部位に分けられている。ただ、大きさなどのバランスの問題があり、お客さんに出す際は店側で適当に部位を選ぶことにしている。
この店のフライドチキンは小麦粉ではなく、とても目の細かいパン粉が使われており、中に肉汁がしっかり閉じ込められ、どの部位を食べてもパン粉のさっくりとした香ばしい食感と驚くほどの柔らかさを味わうことができる。
さらに、生の玉ねぎの輪切り、コロッケ、大きめのフライドポテト、バタートーストがフライドチキンとともに盛られてくる。好みでトーストにはさんだり、甘めのマスタードをつけて食べることもできる。
このチキンバスケットひと皿で十分、お腹を満たせてくれるメニューで、店ではひと組のお客さんが必ず1皿は注文するため、1日150食は必ず出るという看板料理にふさわしい1品である(【OL銀座食楽部】では複数のフードアナリストの女性が実際にレストランを訪れ、そのレポートを毎週、金曜日から週末に掲載します。今回は趣味が食べ歩きと作曲という紗羅さんが書いています)。
店名=「銀座キャンドル」(中央区銀座7-3-6 有賀写真館ビル地下1階、03-3573-5091)
営業時間=平日は11時30分から23時(注文は22時まで)、土・日曜日・祝日は12時から22時(注文は21時)。定休日は月曜日、但し、月曜日が祝日の場合は、翌火曜日が休みで営業時間は12時から22時。
料金はランチが800円から、ディナーが単品主体だが、コースは3675円から(要予約)。
URL=http://www.ginza-candle.com/
日本フードアナリスト協会





