コラム・レポート

07年トヨタF1チームは上位陣との差を痛感した1年(46)

07年トヨタF1チームは上位陣との差を痛感した1年(46)トヨタチームの技術関連ディレクターを務めた新井章年。

【モータースポーツを拡げろ!】前回、ホンダとトヨタの2007年シーズンの不調の原因や背景について取り上げてみた。それについて、トヨタの関係者が、公式サイトで述べているコメントから、掘り下げてみたい。

パナソニック・トヨタ・レーシングの技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)を務める新居章年(あらい・のりとし)はこう語っている。


開幕戦のオーストラリアGPでは、トヨタ自動車の名誉会長、豊田章一郎(とよた・しょういちろ)もわざわざ現地まで行き、チームに顔を出し、激励した。

開幕戦のオーストラリアGP(ラルフ・シューマッハー8位、トゥルーリ9位)の後に「予選では2台そろってトップ10に入るスピードを見せたのに、レースではファステストラップでトップ10に入ることができなかったことに関しては、満足していません。ウインターテストではロングランを中心にプログラムを消化していたため、レースペースではもう少し上位との差を縮められると思っていただけに、残念です。これはクルマのポテンシャルが低いのではなく、われわれがまだクルマのポテンシャルを100%引き出しきれていないだけだと思っています」。

3戦目のバーレーンGP(ラルフ12位、トゥルーリ7位)では「上位チームとの差はまだまだ大きく、スペインから始まるヨーロッパラウンドに向けては、『TF107』の改善を更に進め、もっと上を狙えるようにしたい」。

7月からトヨタF1チームを代表として引っ張った山科忠(やましな・ただし)。来年はいっそうのリーダーシップを見せられるか。

2人とも完走を果たせなかった第9戦英国GPでは「ラルフ・シューマッハーの走りは順調で、順位のばん回も可能ではないかと思っていたが、左前サスペンションのトラブルでリタイアせざるを得なかった。ヤルノ・トゥルーリは『TF107』のバランスに苦しんでいた上に、サスペンションのチェックが必要となり、結果として走行を諦めざるを得なかった」。

第13戦のイタリアGP(ラルフ15位、トゥルーリ11位)では「GPウィークの3日間、どこかひとつが悪くても良い結果は得られない」。

第15戦の富士スピードウェイでの日本GP(ラルフ未完走、トゥルーリ13位)では「本当に厳しい結果であり、残念で仕方がない。セーフティカーの下でのレーススタートという、普段と異なるレース展開の中で、ピットインのタイミング、戦略が上手く機能しなかった」 。

F1マシンがつくられるオートクレーブ。高圧下での形成が可能となり、速さと美しさを兼ね備えたマシンが生み出される。

シーズン当初は、いいポテンシャルのマシンを作り上げたが、チーム全体でこれから能力を引き出していく、というスタンスであった。それが、上位チームとの距離を感じ始め、ばん回の努力に励みながらも、マシンのバランス、コンディション、戦略などがそれぞれ微妙にずれてしまったことが、はしばしからうかがえるだろう。

もちろんこの課題は、トヨタだけが抱えているものではない。F1という世界はミスをしない繊細さと、決めたら突き進む大胆さの両輪が必要であり、それをコントロールできる存在が欠かせないのだ(敬称略、【モータースポーツを拡げろ!】はモータースポーツについて毎週末に掲載します。若手ライターの平本真樹さんが書いています)。
富士スピードウェイ

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