コラム・レポート

独発泡ワイン「ゼクト」の世界に浸る(30)

独発泡ワイン「ゼクト」の世界に浸る(30)種類や産地、味わい方を熱く語る星野さん。ドイツワインへの愛情が言葉のはしばしから感じられます。

【平本真樹の探訪記】景気がよくなってきた、といわれて久しいですね。自分の実感としてはわかないものの、百貨店などに足を運ぶと、かなり活気づいています。お酒売り場も、ワイン、日本酒、焼酎などとバラエティに富んでいます。

そういえば、バブル期以来のシャンパンブームだそうです。「シャンパン」というと厳密にはフランス・シャンパーニュ地方で生産されるスパークリングを指しますが、日本では一般的に発泡性ワイン全体を示す言葉として使われていますね。

スパークリングワインというと、フランスの「シャンパン」、スペインの「カヴァ」が有名ですが、ドイツにもあるんです。その名も「ゼクト」です。


先日、ドイツのスパークリングワインばかりを味わう会「楽飲会」が開かれました。場所は「銀座ワイナックス」のサロンルーム、台風4号が近づく時期の銀座でした。このドイツのスパークリングワインの試飲会を2回にわたって報告します。

ドイツのスパークリングワインの生産エリアは、ヴュッテンベルク、プファルツ、ラインヘッセン、バーデン、アールなどさまざまです。使うぶどうも、ドイツでもっともメジャーなリースリングの他にも、シャルドネ、シュペートブルグンダーなど、いろいろとあります。

ドイツワインに関わって20年以上、さまざまな形でドイツワインを楽しんでもらう会を15年以上開いている、銀座ワイナックスの主宰、星野和夫さんはこう語ります。

「これまで、ゼクトばかりの特集というのは開いてこなかった。続けて飲むよりもまず最初に飲むようなお酒である。また、炭酸が入っているので続けて飲むと酔いがまわりやすい。しかし、近年のスパークリングワインのブームもあり、いいものを選りすぐって挑戦してみようと思い、今回はじめて開催することにしました」。

今回出された8種類のゼクトと1つのデザートワイン。形状や色、ラベルにも特徴が感じられる。

そんな初めての場に参加させてもらっているというだけで、気分は高揚してきますね。そのような状況を、より盛り上げるように、まず1杯目が注がれます。

2002年の「ホーエルバイルシュタイン ブラン・ド・ノワール」です。産地はヴュッテルベルクですが、これでピンとくる方はかなりの通です。ドイツの南西部エリアになります。西側がフランス、南側がスイス、と思っていただければイメージがわくかもしれませんね。

「ブラン・ド・ノワール」。フランス語をかじった方ならわかるでしょう。ブランは白。ノワールは黒。英語で言うと「white of black」ですね。え? 黒による白? いったい、何を言っているのでしょうか・・・

この時のブラン(blanc)は白っぽいぶどうの品種や白ワインを指します。ノワールは黒っぽいぶどうや赤ワインを表します。ぶどう品種で言えば、例えばですが、ブランはマスカット、ノワールは巨峰をイメージしてください。

巨峰から色の澄んだスパークリング?(あくまで例えです) 不思議な心持ちで、グラスを持ち、口にしてみます。すると、若々しくさわやかな香りと泡が、口の中に広がってきます。軽やかさが特徴でしょうか、スタートにはぴったりかもしれませんね。

2杯めは「レープホルツ ピノ・ゼクト ブリュット」です。「レープホルツ」というワイン生産者のピノというぶどう品種でつくられたゼクト、辛口、という意味です。スコッチウイスキーのような木の深い香りが感じられます。同じテーブルの女性が、味わいを楽しむような表情をしているのが印象的でした。このゼクト、名称にも特徴があります。通常「pinot」と表記するピノですが、「レープホルツ ピノ」は音をとった当て字で「パイ」と「No」を合わせており、遊び心が伝わってきます。次がより楽しみになってきます(銀座、大手町、丸の内、有楽町のエリア開発などに携わった経験もある、元月刊誌編集者の平本真樹さんが銀大丸有とその周辺エリアなどを独自の視点で取り上げ、不定期に書きます)。
銀座ワイナックス

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