コラム・レポート
震える豆腐など和田アキ子をイメージした和食店(150-1)
店の入り口。階段を下りていくと、入り口のドアーには和田アキ子さんの大きな手形があり、入る前からワクワクしてくる。ただし、西麻布店は家が近いせいか時々顔を出すそうだが、銀座店にはあんまり顔を出すことはないそうだ。【OL銀座食楽部】6丁目のバーニーズニューヨーク銀座店から外堀通りに向かうと、すぐに出てくる並木通りの角にあるビルの階段を下りていくと「お菜屋(おさいや) わだ家」が出てくる。
入り口のドアには見るからに大きな手形があり、誘われるように手を合わせようとするとドアが開いた。店内に入ると、また大きな足跡が奥へと続いている。
この手形と足跡はこのお店を運営している歌手の和田アキ子(わだ・あきこ)さんのものだ。足跡は大きさだけでなく、歩幅まで実物大だと迎えてくれた店長の小林孝司(こばやし・たかし)さんが説明した。
銀座店は「お菜屋 わだ家」の4店舗目としてちょうど1年前の2009年9月7日にオープンした。1号店の西麻布店は2007年4月に和田アキ子さんがデビュー40周年を迎え、ファンや亡くなられた母親(和田森子=わだ・もりこ、1921-2005)、関係者への感謝の気持ちとして開店したという。
私は1年6カ月ほど前に西麻布店にも行ったことがあるが、入り口のドアノブが、握手するような形で和田アキ子さんの手になっていたのを覚えている。
「わが家」のように寛げるようにと「わだ家」と名付けたそうだが、冠されている「お菜屋」というのはあまり耳慣れない言葉だ。店長の小林さんに聞いてみると、「菜(さい)」は、野菜の「菜」でもあり、お店のコンセプトが「まごころを提供する店」なので、野菜料理など身体を気遣って健康的なものとか、身体に優しいものをという思いを込めて、西麻布店立ち上げの際に居酒屋と区別して「お菜屋」と表現したそうだ。
「冷アッコ」は器の底が丸くなっていて安定感が悪くグラグラするが、起き上がりこぼしのようになっていて倒れたることはない。アッコさんに料理をだすときに緊張して手が震える様子を表しているというところが面白い。「和」のマークの入ったお皿もとてもよく冷えている。最初に頂いたのは、おすすめの「こだわり冷アッコ」(680円)で、冷やっこにはめずらしく茶碗蒸しの器のような深い器で出てきた。「冷アッコ」は、冷やっこと和田アキ子さんの「アッコ」をもじったもので、できたての生湯葉が豆乳に浸っているようなトロトロの豆腐の上にはわさびと紅たでが乗っていた。確かにとてもおいしそうな豆腐ではあるが、どこに「こだわり」があるのだろうか。
すると、カウンターの中から料理人の広瀬和彦(ひろせ・かずひこ)さんが3つのこだわりについて説明しはじめた。ひとつは手作りの豆腐で、北海道から厳選した豆乳を仕入れて、毎晩翌日分を仕込んでいるという。味の濃い豆乳なのでそのまま食べても味はしっかりとしているのが特徴という。
2つ目は器で、冷蔵庫で器だけでなく下の皿や取り皿までも「冷え冷え」にしてあるというが、それでだけではない。広瀬さんが「ちょっと下の皿をもってみてください」というので持ちあげてみると、茶碗蒸しの器のように見えた深い器は、起き上がり人形のように底が丸くなっていて器の安定感が悪くグラグラする。
「げんこつロール」の提供時(上)とカットされた状態。大鍋に浮かんでいるげんこつロールは、アッコさんのげんこつサイズをイメージして命名された。トマトを入れて小鍋で提供され、冷めないように固形燃料で温められている。最初にそのままの大きさで出され、スタッフがハサミで食べやすいようにカットしてくれる(下)。「和田アキ子に料理を出す際に緊張して手が震えてしまう様子を器で表現していて、また、(アッコさんが)いつ来るかわからないからヒヤヒヤしているというのもかけている」と広瀬さんが語ると、思わず笑ってしまった。
3つ目は、削りたてのカツオ節で、お店では「こだわりセット」と呼ばれている懐かしいかつお削り器が一緒に提供される。素人では削るのは意外に難しいので直前に削って出されるが、これを見たお客さんの中には、「昔よく削らされたんや」と懐かしがる人もいるという。特製のたれをかけて提供されるトロトロの豆腐は、濃厚でかつクリーミーな味だった。
2品目は、目の前のカウンターの中の大鍋で、竹皮で十文字に縛られてプカプカ浮かんでいたキャベツが気になって注文した「銀座店で誕生!アッコのげんこつロール」(1280円)だ。
銀座店で誕生と書いてあるのは、「お菜屋 わだ家」の中でも銀座店限定のメニューだからだが、他にも「銀座店で誕生!こだわりアワビご飯」なんていうメニューもあったりする。
アッコさんのげんこつの大きさをイメージしているそうで、そのボリュームは中具だけで150gもあり、キャベツを巻いたものは300g以上にもなる。小さめの土鍋で丸ごと出てきたのだが、どこから食べようかと思っていたら、すぐに店長の小林さんが「切りましょうか?」と言って焼き肉を切るときのようなハサミを取り出した。
いつもこうして一度お客さんに提供したあと、食べやすいようにお客さんの目の前で人数に合わせて3、4切れに切り分けている。てっきりロールキャベツのようなものだと思ったら、ひじきや角切りのれんこんが覗いている。早速食べてみると、シャキシャキとしたれんこんの食感がよく、ニンジン、玉ねぎ、ひじきと野菜などもいろいろ入っていて、しょうがの風味が利いており、とても食欲をそそる。
和風なのにコクのあるスープと一緒に煮込まれたトマトがさっぱり感をひきたてる。使っているお肉は、三重県の松阪ポークで荒びきと小間びきを合わせて使っているそうだ。
アッコさんはサクサクとかコリコリした食感のものが好きで、れんこんやひじきなどミネラルたっぷりでヘルシーに仕上がっているのも「お菜屋」らしいひと品だと思った。
思わず「おいしい」と口にすると、すかさず広瀬さんが「『おいしい』いただきましたぁ!」と店内のスタッフに聞こえるように大きな声を出すと、スタッフ全員から「ありがとうございます!」と元気な声がかえってきた。
食べる人の身体を気遣った料理だけでなく、こんなチームワークのよさもこのお店の居心地がいい理由のひとつかもしれない(【OL銀座食楽部】では複数の女性が実際にレストランを訪れ、そのレポートを毎週、金曜日から週末に掲載します。今回は猫と旅と食べることをこよなく愛するkeikoさんが書いています)。
注:「お菜屋 わだ家」は「株式会社エー・アンド・ケイ」(港区麻布永坂町1-54-204、http://www.akgroup.jp/)が運営しており、「株式会社未知インターナショナル」(大阪市西区北堀江1-8-12 丸五ビル7階、http://vk-michi.com/)のプロデュースによりオープンした。
1店目は2007年4月の東京西麻布店、2店目が同年5月の大阪お初天神店、3店目が2008年5月の新大阪店で、銀座店が4店舗目となっている。他に寿司などを出す業態の異なる「新北地 わだ家」もある。
店名=「お菜屋 わだ家 銀座店」(中央区銀座6-6-11、第4ポールスタービル地下1階、03-3569-0410)
営業時間=月曜日から土曜日が17時から4時(注文は3時)まで、日曜日・祝日が17時から24時(注文は23時)まで。年中無休。
席数はカウンター8席、テーブル26席、座敷5部屋で24席、計58席。
料金は豚しゃぶの入ったコースが4500円から7280円。飲み放題付きのコースは「超お得!女子会コース」5800円と、6800円から9800円まで。2人前から注文できる「浪速流 豚のしゃぶしゃぶ」が1人前2400円から3880円まで。
単品が480円から。ビールは380円から700円、サワーが750円、焼酎はグラス600円から750円、ボトルが3800円から5000円、ワインはグラス900円から、ボトルが3800円から。
URL=http://www.wada-ya.com/


