コラム・レポート

パン屋にもある「恵方巻き」って知ってる?(83)

パン屋にもある「恵方巻き」って知ってる?(83)ヘルシーをテーマに3品を紹介します。西日暮里の「ブーランジェリーイアナック」のお豆とれんこんのカレーパン(200円)。油で揚げない焼きカレーパンの中には繊維質が豊富な根菜と豆がいっぱいです。

【ayaのパン流浪記】2月3日は節分、翌4日は立春ですから、もう暦の上では春です。でもそれから数回雪のようなものがチラつく寒い日もありました、寒がりの私としては暖かくなってくれるの待ち遠しいです。

ところで、2010年の節分にはパン屋さんでも「恵方巻(えほうま)き」が売られていたのにお気づきになりましたでしょうか。

そもそも「恵方巻き」とは、関西で節分に食べられていた数種類の具材を巻き込んだ中細の巻き寿司で、その年の恵方(2010年は西南西)に先を向けて1本黙々と食べることによって「1年の災難を食ってしまおう」という縁起担ぎの巻物です。

押し寿司や巻き寿司の文化であった関西とは違って、にぎりやちらし文化の関東では無かった習慣ですが、最近では関東にも根づきはじめ、スーパーやコンビニでは季節の風物詩となっています。

パン屋さんにあったのは、寿司飯で作った巻物そのものではなく、巻き寿司をまねて作った「恵方ロールサンド」でした。パンで具材をロールケーキのように巻き込んで、それをのりでくるんだもの、ロール型に成型した生地をのりで巻いた焼き込み調理パンタイプのもの、竹墨入りの黒いパンで具材を巻いたロールサンドなどを実際に見かけました。


千駄木の「パリット フワット」のクレヨン(2分の1で346円)。具材は日替わりでこの日はじゃがいも、ほうれんそう、よもぎでした。

一昔前は、色も茶色や白ばかりで華やかさがないし、パン屋さんには季節感がないなどと言われたものですが、こうしたイベントパンは立派に四季を感じることができるアイテムです。パン屋さんも知恵を絞っているようですね。

プライスカードが鬼の形をしていたり、鬼のお面や煎(い)り豆の升が一緒にディスプレイされていたりするなど、置き方も工夫されていたので「つい」手が伸びてしまう人も多かったのではないでしょうか。そのうち、この季節の定番になって本物の「恵方巻き」のように予約販売をする店も出てくるかもしれません。

私は、この「恵方ロールサンド」を見て幼稚園のころのお弁当を思い出していました。小さい子供のお弁当には色や形で食欲を増すような仕組みが必要でしょうから、母は毎日の献立を考えるのも一苦労だったことと思います。

一口大のおにぎりに動物の目鼻を付けたり、ソーセージをタコに、りんごをうさぎにしたり、と見た目のひと手間も頑張ってくれていました。そんな中でも私が大好きだったのは、サンドイッチパン、スライスチーズ、のり、ソーセージをスライスチーズのセロファンをすのこ代わりにして巻いたロールサンドだったのです。

チーズとソーセージという子供が大好きな食材が2つ組み合わされたこのメニューは、お弁当のふたを開けた瞬間に私を上機嫌にしてくれたものです。1本を4等分位に食べやすい大きさに切ってつまんで食べられるように並べられている時もあれば、巻いたまま入っていて、バナナのように皮をむいてかぶりつく時もありました。

北海道の「十勝ベーグル」のサーモンコラーゲン(250円)。抗酸化作用のあるアスタキサンチンを含む鮭と潤いの素といわれるコラーゲンの組み合わせは女心をくすぐります。

ノリが巻いてあるというのが子供心にとても珍しかったのを覚えています。チーズとソーセージに挟(はさ)まれ、少ししっとりして噛(か)みきるのに力が要るような状態になっているのもミソでした。

ミスマッチにも感じるのですが、これがあるのとないのでは全く別物になるのです。母におねだりする時の呼び名も「ノリのサンドイッチ」でした。具材の中で決して主役ではないのに、なぜか存在感が大きかったノリ。今回「恵方ロールサンド」から母のこのサンドイッチを思い出したのもノリが巻いてあったからでした。

小学校に上がって、残念ながら給食になってしまいましたが、たまに遠足や運動会などでお弁当の時には作ってもらっていました。中学で再びお弁当になった頃には、母も仕事をしており、忙しくて幼稚園の子にお弁当を作るような手間暇はかけられなくなっていたのでしょう。すっかりお目にかからないまま今日に至っています。

「恵方ロールサンド」はたぶん、世の大半の人にとっては2010年出てきた新しいものでしょう。でも私にとっては懐かしい一品を思い出させてくれる、なんとなく親近感の持てる商品でした。改めて自分で「ノリのサンドイッチ」を4半世紀ぶりに作ってみようという気持ちになりました(【ayaのパン流浪記】は首都圏で暮らすOLのayakoさんが不定期にパンを切り口にエッセイを書いています)。

店舗情報
「ブーランジェリー イアナック(BOULANGERIE ianak!)」=東京都荒川区西日暮里4-22-11、03-3822-0015
「パリット フワット」=東京都文京区千駄木1-19-7、03-5814-2339
「十勝ベーグル 帯広本店」=北海道帯広市東1条南5丁目9、0155-20-6688

この記事を友だちに送る >>