コラム・レポート
パンとソーセージで腹十分目、メーンが遠くなる独料理店(130-1)
【OL銀座食楽部】JR新橋駅から徒歩3分程度のところに位置する第一ホテル東京と第一ホテルアネックスの間の新幸橋ビル地下にドイツ料理を専門とする「ドイツ居酒屋 ジェイズ(J's)ベッカライ」がある。
エスカレーターを降りると、すぐにガラス張りで半円形のよく目立つ店が見え、つい中を覗いてみたくなる。「ベッカライ」は2003年6月15日に、有楽町本店の「ジェーエス(JS)レネップ」の姉妹店として開業した。
両方の店名にある「J」は「ジャパン(JAPAN)」、「S」は「シュタインハウス」の略でドイツハムの名門の名前を使っている。有楽町本店はオープン当時、シチューなど割高の料理を主体にしたレストランで、ハムを1枚ずつ量(はか)り売りするような高級店だったが、値ごろ感のある価格のメニューに切り替え、売り上げが伸びてきた。
しかし、店の規模が小さく、席数が少なかったため、営業をはじめてもすぐに満席になってしまい、お客を断ってばかりいた。そのため、ひとりでも多くのお客にドイツ料理のおいしさを知ってもらうため、隣の駅に2号店を出すことを決め、本店と同じメニューを提供する姉妹店が生まれた。
とはいえ、すべてが同じでは店側もつまらないので、本店と共通のグランドメニュー以外に新橋店限定として鍋料理とドイツパンに力を入れ、店名もパン屋という意味の「ベッカライ」とした。オープン当時は年配の男性客が多かったが、ドイツパンを強調していくことで若い女性客が増え、現在では主に女性をターゲットとしたメニューを考案し続けている。
多くの女性の心をつかんだドイツパンは実は名古屋で作られている。この店を経営している食品会社の役員がドイツパンの素朴な味わいを守り続けている「ベッカライ・ミヤガワ本店」(名古屋市名東区高間町492-1、052-704-2367)の味に惚れ込み、何度も会社に足を運んで、社長の宮川登(みやがわ・のぼる)さんと交渉した。当初は相手にしてもらえなかったが、何度も懇願するうちに「ベッカライ」の料理に合うパンを作ってもらえるようになった。
開店当初はドイツパンとはどのようなものか、多くの人に知ってもらうため、女性客にお土産(みやげ)として配ったり、試食キャンペーンを行い、メニューに乗せているパンだけでなく、試作品も含めて20種のパンから好きなものを客に食べてもらい、その中で人気があったパンの盛り合わせをメニューに取り込んで提供するスタイルをとってきた。
今回は数あるドイツパンの中からビールのおつまみとして有名な「プレッツエル」(430円)と「ドイツパン4種盛り合わせ」(672円)を頼んだ。盛り合わせの内容は穀物たっぷりでクセがなくシチューなどの付け合わせに適した「グラナリーロール」、ドイツやオーストリアで定番の王冠型テーブルロールの「カイザーゼンメル」、四角い形で、ライ麦入りのほのかに甘い「シュースターユングス」、表面をカリっとさせるためにラウゲン(岩塩から生成したアルカリ液)を使用した「スティープロール」の4種だ。
バター、レバーペースト、ドイツ産のミックスベリージャムも添えられており、好みでつけて食べることができる。私はラウゲンによって独特のほんのりとした、不自然でない塩味を楽しめる「スティープロール」がとても気に入った。
プレッツェルやスティープロールはラウゲンの効果でドイツパン独特のてかりのある茶色い焼き色が生まれ、見た目も美しい。ランチでは独特の酸味のあるドイツパンをいくらでも食べられるのがうれしい。
続いて選んだ「ソーセージボイル&グリル8種盛り合わせ」(3108円)が出てきた。どの種類から食べようか迷っていると、取締役代理の小島康史(こじま・やすし)さんがひとつひとつのソーセージの特徴と食べ方を丁寧に説明しはじめたので、紹介してくれた順番に食べ進めてみた。
もっとも一般的な絹挽きスモークのソーセージ「ウインナー(細短)」、ウインナーよりソフトな食感の絹挽きスモークソーセージ「フランクフルター(細長)」、スモークした粗挽きグリルソーセージ「オーバークライナー(細長)」、焼きソーセージで、香ばしくパリっとした食感が特徴の粗挽き白ソーセージ「ニュールンベルガーブルスト(細短)」と立て続けに4本を味わったが、小島さんの説明を聞かないと、細かい違いを感じることができなかったかもしれない。
このあとの4種はいずれも見た目にも特徴があり、印象に残った。馬のひづめ形をしたもっとも濃厚なピリ辛ソーセージ「クラカウア」と絹挽きノンスモークでソフトな食感の「パプリカフランク(細中)」はこの店のオリジナルソーセージだ。
中でも、もっとも気に入ったのはドイツ風ミートローフ「フライシュケーゼ(レバーケーゼ)」で、形はソーセージの材料をつつまずに型にいれて四角く仕上げられている。パセリ入りの白いソーセージで、ナイフで皮をはがしてたべる「ミュンヒナー(ミュンヘン)ヴァイスブルスト(太中)」はソフトな食感で、味はあっさりとしていて食べやすく、スイートマスタードをつけて食べるとおいしさが倍増した。
「ソーセージは細いタイプが羊の腸、太いタイプが豚の腸を使っているんです」と素材の違いを説明してくれたので、よくわかった。また、フランクフルター(フランクフルト)やウインナー(ウィーン)、ニュールンベルガー(ニュールンベルグ)、ミュンヒナーなど地名がついているのもドイツソーセージの特徴だ。
ともかく、ソーセージに関する豆知識を小島さんがいろいろと教えてくれたので、どれも楽しく味わうことができた。それにしても、パンとソーセージの種類があまりにも豊富なので、メーン料理にたどりつく前に、お腹が十分になりかけた(【OL銀座食楽部】は働いている女性が実際にレストランを訪れ、そのレポートを毎週、金曜日から週末に掲載します。今回は趣味が食べ歩きと作曲という紗羅さんが書いています)。
店名=「ドイツ居酒屋 ジェイズ(J's)ベッカライ」(千代田区内幸町1-5-3、新幸橋ビル地下1階、03-3509-9712)
営業時間=ランチは平日が11時30分から14時(注文は13時30分)まで、ディナーが平日の木曜日までと土曜日が16時30分から23時(注文は22時20分)まで。金曜日が16時30分から23時30分まで(注文は23時まで)。定休日は日曜日と祝日。
席数は100席。
料金=料理は夜が単品で430円から、ドイツビールが300mlで588円から。コースは「JSお気軽コース」(3150円、飲み放題つき5460円)から「JS特別コース」(4200円、飲み放題つき6510円)まである。飲み放題つきは赤ワインのついた上級コースもある。
URLはなし。




