コラム・レポート

「ドラッグ天国殺人事件4」(4)売春夫への拷問が始まる(60)

「ドラッグ天国殺人事件4」(4)売春夫への拷問が始まる(60)アラビア海に沈む夕日は天下一品である。

(「ドラッグ天国殺人事件4」は連作のオムニバス方式の第4弾で、5回連日で掲載します。第1弾は7月3日から6日、第2弾は7月26日から30日まで、第3弾は8月27日から31日まで掲載しました)
【印度の玉手箱】ロッキーの答えを聞くと、アンリはほっとした面持ちになって、
「いいか、どんなひどい拷問を受けても、絶対口を割るんじゃねえぞ」
としつこいくらいに念を押してきた。

ロッキーはそれにしても、少女の遺体が全裸で上がったことが今ひとつ納得がいかなかった。ヒモで結ぶスタイルの水着だったと記憶しているから、流されるうち、ほどけたということだろうか、きっとそうにちがいない。

それから、またしても深い悔恨(かいこん)に駆られ、自分を責めた。実も花もあるあたら15歳の乙女の命を無惨に摘み取ってしまったと思うと、不慮(ふりょ)の事故とはいえ、そもそも未成年者を手ごめにしようとした自分の悪い了見(りょうけん)が祟(たた)ったのだと思った。


南のパロレンビーチは穴場、こじんまりとして手付かずの浜が弧状に開ける。

生前のソフィのあどけなさを思い出すと、まぶたに熱いものが噴き上げた。俺の責任だ、アンリがまたしても黙りこくってしまった自分を気づかうように、
「心配するなよ、DNAの鑑定結果さえ出れば、2人とも強かん(ごうかん)の疑いは晴れるはずだからな」
と慰めてくれた。が、アンリの考えは甘かった。

翌日から食事時間を除いての朝から晩までぶっ通しで、厳しい取調べが始まった。

「おい、何隠しごとしてんだ、あの夜何があったのか、洗いざらい白状しちまえ」と刑事に突っ込まれたときは、牢屋に盗聴器が仕掛けられていたのかもしれないと疑った。

容疑者同士を一緒にして、口裏を合わせたりしないか、泳がせたに違いない。幸いにも、決め手となることは何もしゃべっておらず、黙秘権を行使することで乗り切った。業を煮やした刑事は、口にいえないような性的拷問にかけはじめた。

アンリは自分と違って、女客しかとらなかったのに、ホモの刑事に容赦なくおカマを掘られてしまったのである。チャーリーとかいう刑事は好き物で、アンリにぞっこんのようだった。

そのせいで、滅多打ち(めったうち)にされ、体中赤黒く腫(は)れ上がらせているロッキーと違って、アンリは殴られたり、吊るされたりの拷問は軽くてすんだようだが、ホモっ気のないアンリにとっては、チャーリーの太い一物が尻に突っ込まれることは、どんな拷問よりつらそうだった。
(【印度の玉手箱】はインドで暮らすモハンティ三智江さんがエッセイやショートストーリーを不定期に書きます)
ホテル・ラブ&ライフ

この記事を友だちに送る >>