コラム・レポート

夜も味わえる「ムルギーランチ」が売りのインド料理店(111-1)

夜も味わえる「ムルギーランチ」が売りのインド料理店(111-1)昭和通り沿いに面した「ナイルレストラン」は2009年で創業60年を迎える。昭和のレトロな雰囲気を漂わす店構えだ。

【OL銀座食楽部】銀座4丁目の三原橋交差点のすぐそばに2階建ての1軒家「ナイルレストラン」がある。創業は1949年で、2009年で60年を迎えるという日本で最初のインド料理専門店だ。

インドの神様の像が出迎える入口をくぐると、目が合ったインド人従業員が「ムルギーランチでしょ?」ときいてくる。まだ席に着いたばかりで、メニューさえ開いていないのだが、決まったように聞いてくるのは、この店に来る客のほとんどが「ムルギーランチ」を注文するからだ。

「ムルギーランチ」とは創業当時からの名物で、南インドの家庭料理をルーツとする、骨付きの鶏モモ肉、炒めたキャベツ、マッシュポテト、ライスがひとつの皿の上に盛られているカレープレートだ。「ランチ」というから昼食時のみに供されると思いきや、開店の11時30分から閉店の21時30分(日祝20時30分)まで1日中いつでも食べられるメニューとなっている。


店内に足を踏み入れると、ほのかに香辛料の香りが漂う。1階はカジュアルな雰囲気のテーブル席が配されている。

「これは、私の両親が考案した料理で、創業当時から昼も夜も出しているんです。『ムルギーランチ』という固有名詞なんですよ」と語るのは、2代目で店の代表取締役と店長を兼ねるG.M.ナイルさんで、つまり、「ランチ」であっても、昼食の「ランチ」を意味していないわけだ。

私も「ムルギーランチ」を目当てに取材に訪れたのだが、ムルギーランチとお勧め料理がセットになっている「お任せコース」(1人2800円)があるというので、それを注文しようとしたら、こんどはナイルさんが「1人前は作らないよ」と言い出した。この店ではコースは最低2人前からしか作らないし、量が多いので2人分を1人で食べることはできないよ、ということらしい。とにかく、この店は1品の量が半端ではないのだ。

そこで、ムルギーランチも含まれる「お任せコース」は次回友人と訪れた際の楽しみにした。一応、「ムルギーランチ」は1人前(単品1500円)でも注文できるのだが、せっかくなので今回は他の単品料理を注文しようとメニューをのぞいていると、しばらくしてナイルさんが「メニューは見なくてもいいよ。メニューに載っていない料理はこの2倍もあるから」と言い出したので、あきらめて選択を任せた。

創業時より名物の「ムルギーランチ」は創業時からの味を今に伝えており、注文するとスタッフが混ぜてくれる。それがこの店のスタイルだ。

運ばれてきたものは、具だくさんの赤いカレー「野菜カレー」(1200円)で、メニューには載っていないひと品だ。グリーンピース、カリフラワー、ナス、ピーマン、ニンジン、キャベツ、タマネギなど甘みの引き出された温野菜がごろごろと入っている。

さらさらとした赤い液状はトマトがベースで、クミンやターメリック、コリアンダー、カイエンペッパー(チリペッパー)のほか数種のスパイスで味付けされている。ピリリとした辛さの中には、トマトの甘さとコクが感じられ、食べていると身体中が香辛料に刺激され火照ってくる。食物繊維も豊富に摂れるうえに、これからの季節、夏バテ予防にも最適なひと品だ。

辛さは調節できるので、注文時に伝えれば、大辛でも要望に応じてくれるが、「あまり辛すぎたら味がわからなくなるでしょ」(ナイルさん)といわれた。このため、大辛といってもそれがどのくらいの辛さかはわからない。逆に辛いのが苦手でも、別にヨーグルトを注文して、好みで加えていけば、味がマイルドになる。

季節の野菜をたっぷり取り入れた「野菜カレー」(1200円)。温野菜の甘みと香辛料のアクセントがクセになる。

アレンジを加えず、創業時からの伝統の味を守り続けているのが特徴というからには、日本人向けにアレンジした甘口のカレーなどは決して作らないのだろう。

ライスはもちもちとしており、形状も細長くパラパラとしたインディカ米とは違うようだ。「うちは岩手の食材を使って料理をしましょうという『いわてフレンドリーレストラン』に加盟していて、岩手の純情米といわれる『いわてっこ』を使用している」(ナイルさん)そうだ。時にはナイルさん自らが岩手県に赴き、米作りをしている契約農家にも時々顔を出している。

もちもちとして甘みのある日本の米と、さらさらとしたインドカレーとの相性も良く、日本人としては、どこかほっとし、自然と舌にも馴染む味わいと余韻に浸り、次はムルギーランチを食べに来ますと約束してこの日は店を後にした(【OL銀座食楽部】では複数の女性が実際にレストランを訪れ、そのレポートを毎週、金曜日から週末に掲載します。今回は「郷土料理で町おこし」がテーマのtsuboさんが書いています)。

オレンジ色が鮮やかなデザート「ハルワ」(550円)。ニンジンをおろし、砂糖とはちみつで6時間じっくり煮詰めて作るニンジンケーキで、アーモンドやカシューナッツの食感も飽きさせない。

注:「いわて純情米いわてっこ」とは2001年に岩手県オリジナル水稲品種として、岩手県農業研究センターで誕生した米で、「ひとめぼれ」と「こころまち」という組み合わせから生まれた。適度な粘りがあり、「あきたこまち」のような良食味が特徴だ。天然の栄養・堆きゅう肥の使用量が多く、低農薬で作られている。

店名=「印度料理専門店 ナイルレストラン」(中央区銀座4-10-7、03-3541-8246)

営業=平日は11時30分から21時30分(日曜日・祝日は20時30分)まで。火曜日が定休日。

席数=70席

料金はムルギーランチが1500円、チキンマサラが1250円、カバブが1200円、ご飯物が1100円から、カレーライス1200円から、スープ600円、お任せコースが2800円から、インドビールが700円、インドワインが750円、ソフトドリンクが500円から。

URL=http://www.ginza-nair.co.jp/index.html

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